とある休日の昼下がり。取り込んだ洗濯物を畳みながら、今晩の夕食のメニューに思いを馳せていたわたしのもとに、せわしない足音を立てて、愛娘がやってくる。さて、今度は何の用事なのかと、わたしは微笑みながらゆかりの方に振り向いて――――
「お手!!」
………………………………。
「あ、あのぉ、ゆかりちゃん?」
「……ゆかり、なんのつもり?」
「――――あれ?」
マルチちゃんは、突然起きたことについていけずに呆けた問いを発し、わたしは首を傾げて、やや半眼でゆかりを見つめた。
「え? あれ、どうして?」
そんなわたしのプレッシャーをまるで意に介さず、ゆかりは不可解なことでも起こったかのように、自分が差し出した小さな手を見つめていた。全くもって、不思議なのはこちろの方だと言うのに。
「こぉらっ、ゆかり!」
「ぃひゃっ!」
わたしは笑いながらゆかりを抱きかかえて、体中をくすぐってやった。
「あははははは! お、おかーさんやめてぇ! あははははは!!」
「だーめ、止めてあーげない。大体ね、お母さんに向かって『お手』はないでしょうが!」
「だ、だっておとーさんが……」
ぴくっ。
はい、あっさりと理解できました。なんでゆかりがこんな奇行に出たのかを、原因を踏まえてはっきりと。
「……ははぁん、なーるほど。浩之ちゃんのせいなんだね?」
「え、お、おかーさん?」
わたしは不必要なまでににっこり笑うと、ゆかりを解放してゆらりっ、と立ち上がった。
「ゆかり、浩之ちゃんは確か、自分の部屋にいたんだよね♪」
「う、うん……。あの、その……あまりいじめないであげてね?」
ゆかりの言葉を聞きながら、わたしは浩之ちゃんのいる所へ向かった。
【ToHeart ~Long,Long
Ago~ 犬として……】
「いででででで! あ、あかりぃっ、俺が悪かったから耳引っ張らないでくれぇ!!」
泣き言を言う浩之ちゃんに、我ながらちょっと怖いかな、と思う笑顔を向けつつ、わたしは居間まで浩之ちゃんを引っ張って来た。
(はわわわわわわ……あかりさんとっても怒ってますぅ)
(あうぅぅぅぅぅ……おねーちゃん、おかーさん怖いよぅ)
なんか後ろで怯えているゆかりとマルチちゃんは取りあえず無視して、まず自分が正座しつつ、手前の座布団を指差して、浩之ちゃんを促した。
「浩之ちゃん、ちょっとそこに座りなさい」
「はい……」
「さっきゆかりが、突然わたしに『お手』などと言ってくれました。さあ、それはどうしてでしょう?」
「えーと……その……僕ちっちゃいからわかんなーいってのは……いや、俺が悪かった。ほんと、マジで」
わたしがどこからともなく取り出したお玉におそれをなしたか、浩之ちゃんは素直に謝る。小ネタを挟む余裕なんか、あげる気はないんだから。
「いやな、さっきゆかりに、あかりの昔話をして欲しいって頼まれたんだよ。それであかりの『犬チックストーリー』を少々。虹が出れば庭駆け回り、手を差し出せば手を乗せて、アゴ……」
ごげん。
「――っ! くぉぉぉぉぉっ……」
「自業自得、だよ」
わたしのお玉によってできた、見本のようなたんこぶをさする浩之ちゃんに、ゆかりとマルチちゃんは見てる自分の方が痛いとばかりに目を覆う。でも、まさに自業自得だよね。子どもの前でそんな話をするなんて、本当は一発じゃ足りないくらいだよ。
「まったくもう…第一わたしのそーゆー所は、浩之ちゃんが原因じゃない」
「え、どうして?」
わたしが何気なくもらしたそんなぼやきに、ゆかりが敏感に反応した。見れば、マルチちゃんも同様に、不思議そうな顔をしている。
――――これは……仕返しのチャンスかな?
「知りたい? ゆかり、マルチちゃん」
「うんうん!」
「知りたいですぅ!」
食いつきの良い二人の様子に、浩之ちゃんがまともに焦りだした。
「あかりっ!? まさかお前、あの時の話をするつもりかっ!? うわぁぁぁぁ頼む、後生だからやめてくれっ!」
そんなふうに懇願してくる浩之ちゃんに、わたしは意地の悪い笑顔を向け、人指し指を立てた。
「お・し・お・き♪」
「だぁぁぁぁぁ、やめれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「むかーしむかし、ある所に浩之ちゃんという男の子が住んでいました」
「…………ちゃんが余計だ」
ちょっとふてくされて、わざわざ細かいツッコミを入れてくる浩之ちゃんをすっぱり無視して、わたしは話を続ける。
「――――そして浩之ちゃんには、とっても仲の良い友達が3人いました。
1人目の女の子は神岸あかりちゃん、二人目の男の子は佐藤雅史ちゃん、そしてもう1人は、当時飼っていた犬の『ボス』でした。
みんな家族のように仲良しでしたが、妹のようなあかりちゃん、弟のような雅史ちゃんと違って、
ボスは、浩之ちゃんにとって双子のような犬でした。
それもそのはずです。浩之ちゃんが生まれた時から、ボスはずっと浩之ちゃんの傍にいたのですから。
いつも遊んでいる友達の中には、犬が苦手な子も何人かいましたから、遊ぶ時まで一緒とはいきませんでしたが、
それでも家では、仕事が忙しかった浩之ちゃんの両親以上に、ボスは浩之ちゃんと一緒でした。
自分の体よりも大きくて、真っ白な毛並みを持ったボスのことが大好きで、
あかりちゃんや雅史ちゃんが家に遊びに来る度に、いっつも自慢していました。
――――でも、そんなボスに、悲しいことが起きてしまったのです。
そう、それは冬の寒い日のこと。
「ボスーっ、ボスーーっ!」
「浩之! 耳元で叫ぶな! ボスが余計に苦しむだろう……」
「うぅ……だってとーさん、ボスが、ボスが……」
浩之ちゃんの前には、すっかり弱ってしまったボスが力無く横たわっていました。
もともとボスは、浩之ちゃんが生まれる何年も前に、お父さんが飼い始めた犬です。
10数年――――人で言うならば百年にも近い年月を生きて来たボスには、ついに空からお迎えがやってきてしまったのでした。
「ぅくっ…ボスーーーーっ、死んじゃやだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
しばらく、ぐっと堪えて涙を流していた浩之ちゃんでしたが、限界でした。
再びボスに抱きつき、泣きじゃくる浩之ちゃんを……もうお父さんも、止めようとはしませんでした。
ボスの息が、少しずつ弱々しくなってしまっていったから……。
――――そして無情にも、浩之ちゃんの腕の中で、ボスはついに、息絶えてしまったのです。
最後の最後、もう見えなくなっていた目は、穏やかに閉じてゆき、まるでいつもそうするように、ボスは永い眠りに就いたのでした。
「ボス…………お疲れさん。……天国でも、幸せにな」
呆然としてしまった浩之ちゃんの代わりに、目頭を押さえたお父さんがそう言いました。
そして、台所で料理をしていたはずのお母さんも、いつの間にか蛇口を開けっ放しにし、水の音に嗚咽を隠して、静かに泣いていました。
「ぅぅぅうううううわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
その夜、浩之ちゃんは泣き続けました。
一晩泣き晴らした後も、浩之ちゃんに笑顔は戻りませんでした。家族が、友達が、代わる代わるに訪れては、浩之ちゃんを慰めようとします。けれども…………
「浩之、辛いのは分かるが……元気を出せ。お前が悲しんでると、天国のボスが幸せになれないぞ」
本当は、誰よりも長くボスと共にいて、自分も辛いはずのお父さんの言葉にも、
「浩之、お願いだから御飯だけでも食べて。あなたはボスの分まで元気でいなきゃいけないんだから」
いつも、残った材料でボスのご飯を作るのを楽しんでいたお母さんの言葉にも、
「浩之、また一緒に遊ぼうよ。浩之が一緒じゃなきゃ、僕達楽しくないんだよ」
「ユッキー……気持ちは分かるけど、あんたがそうしててもどうしょうもないんだよ」
時折浩之ちゃんの家に遊びに来た時に、一緒に遊んでくれていた雅史ちゃんと千絵美さんの言葉にも、
「ひろゆきちゃん……ひろゆきちゃん……」
――――そして、あかりちゃんの呼びかけにも、何も答えずに、引きこもってしまっていました。
浩之ちゃんがそうなってしまってから3日間、あかりちゃんも悩み続けていました。
かくれんぼのことが有ってから、浩之ちゃんはあかりちゃんにとって、とても大切な人になっていました。
浩之ちゃんの悲しみが自分の悲しみとなって流れ込み、塞ぎ込んだ浩之ちゃんを見るたびに、あかりちゃんも隠れて泣いていました。
「ひろゆきちゃん、わたし、ひろゆきちゃんに何かしてあげたいよぅ……」
あかりちゃんは、その日も自分の部屋のベッドの上で泣いていました。
大好きな浩之ちゃんのために、自分が何も出来なくて、そんな無力な自分が悔しくて……。
――――でも、泣いてるだけじゃいけない。
そう思ったあかりちゃんは涙をごしごしと拭いて、考え始めました。
自分に何も出来ないのなら、誰なら何かをしてあげられるだろう?
どんな時に、浩之ちゃんは笑っていただろう?
「――――あ」
ふと、あかりちゃんは顔を上げました。何かを思いついたようです。
そして、いつになく真面目な顔で頷きました。
――――何かを、決心したようでした。
「え……あかりちゃん、それ、本気なの?」
こくん。
雅史ちゃんの不安げな問いにも、あかりちゃんは真面目な顔をして頷きました。
その隣では、難しい顔で、千絵美さんがあかりちゃんを見つめています。
「あかりちゃん、もしかしたら、ユッキーはものすごく怒るかも知れないよ。その覚悟は出来てるの?」
「うん」
千絵美さんの問いにも、あかりちゃんははっきりと応えました。
その表情からあかりちゃんの本気を感じ取った千絵美さんは、一つため息をつき、言いました。
「……正直、あたしはやめといた方がいいと思うよ。ユッキーの神経を逆撫でしかねないことだからね」
「でもっ、わたしはひろゆきちゃんのために、何かしてあげたいの!」
大きな声でそう言ったあかりちゃんに一瞬気圧されて…………
――――そして千絵美さんは優しい笑顔を向けました。
「そっか。わかった、頑張りな。雅史、あんたはあかりちゃんと一緒に行ってあげなさいな。あたしみたいな年上がでしゃばるこっちゃないからね。
――――あかりちゃんと、ユッキーの助けになってやんなさい」
「うん、わかったよ姉さん」
千絵美さんは、浩之ちゃんの家へと向かう二人を、公園から見送り続けました。
「あかりちゃん、ユッキー、雅史……。頑張れ、三人とも」
「こんにちは」
「あら、あかりちゃんに雅史くん……いらっしゃい」
家にやって来たあかりちゃんと雅史ちゃんを、浩之ちゃんのお母さんは疲れきった表情で出迎えました。
「あの…浩之は…?」
雅史ちゃんの問いに、浩之ちゃんのお母さんは力無く首を横に振りました。
「わたし、ひろゆきちゃんに会いに行っていいですか?」
「ええ、もちろんよ。上がってちょうだい、あかりちゃんも雅史くんも」
「――はい、おじゃまします」
あかりちゃんと雅史ちゃんは、ゆっくりと階段を上がって行きました。
2人とも、一言も口を開きません。
すぐに2人は浩之ちゃんの部屋の前に着いて、
――――迷うことなく、一思いにドアを開けました。
「浩之……」
その姿を見た雅史ちゃんが、思わず悲しげに呟きました。
いつも頼もしかった浩之ちゃんは、見る影も無く落ち込んでしまっていたのです。
あれから御飯も殆ど食べなくなってしまっていたらしく、若干やつれてさえいました。
「ひろゆきちゃん」
あかりちゃんが呼びかけても、やっぱり返事はなく、膝を抱え込んで俯いたままでした。
それを見届けたあかりちゃんは、昨日から考えていたことを実行に移しました。
自分を見ようともしてくれない浩之ちゃんの前に四つん這いになると――――
「わんっ!」
ピクリ。
少しだけ、浩之ちゃんが反応しました。
「わんっ!」
もう一度、今度はもっと大きな声で叫びました。
――――次の瞬間。
がばっ!!
「きゃんっ!?」
「ふざけてんのか、てめぇ!?」
「浩之!!」
ものすごい勢いで起き上がった浩之ちゃんは、雅史ちゃんが止める隙も無く、あかりちゃんの胸倉を掴みあげていました。
「わ……わんっ」
「やめろっつってんだろーが! もう一度言ったら、お前でもぶっとばすぞ!
…………ちくしょう、馬鹿にしやがって……」
「――――ばかにしてなんかないもんっ!!」
悔しそうな顔でそういう浩之ちゃんに、だけどあかりちゃんも大粒の涙を零しながら言いました。
その涙が、怖かったから流れた涙なのか、それとも別のものなのかは分かりません。
けれど、その時のあかりちゃんの剣幕は、浩之ちゃんが思わず手を放してしまうほどのものでした。
「だって今のひろゆきちゃんは、わたしとはお話してくないんだもん! わたしだけじゃないよ、まさしちゃんだって、ちえみお姉ちゃんだって、もちろんひろゆきちゃんのおとーさんとおかーさんだって…………みんな、みんな、みーんなひろゆきちゃんのことが心配だったんだよっ! わたし、ひろゆきちゃんがそんな風になってるの、見たくない!
……わたしひろゆきちゃんがいつものひろゆきちゃんに戻ってくれるのならなんだってするよ? ひろゆきちゃんは、ボスに会いたいんでしょ!? またボスと遊びたいんでしょっ!? だから、今日のわたしはボスの代わりだもん、代わりになるんだもん!!」
一気にそういって、あかりちゃんはわんわん泣きました。
そんなあかりちゃんを、浩之ちゃんも雅史ちゃんも呆然と見ていましたが――――
――――やがて浩之ちゃんはわれに返り、あかりちゃんに近づいて行きました。
「……おい、あかり」
「えぐっ、うぅ……な、なによぅ」
「お手!」
唐突に、浩之ちゃんが言いました。
「え……?」
「ひ、浩之!?」
あかりちゃんも雅史ちゃんも、呆気に取られた顔で、浩之ちゃんが差し出した手をまじまじと見つめました。
「お手っ!」
「あの、ひろゆきちゃん?」
「今のお前はボスなんだろ? お手!」
その言葉で、ようやくあかりちゃんは浩之ちゃんの言いたいことを理解しました。そして――」
「わんっ!」
「おかわりっ!」
「わんっ!」
まず右手を、そして『おかわり』に合わせて左手を浩之ちゃんの手の平に乗せました。けれど、
「あごっ!」
「えぇっ!?」
あまりに予想外の要求に、さすがにあかりちゃんはためらいました。
ですが、すぐに意を決すると、浩之ちゃんの手の上に恐る恐る自分の顎を乗せてしまいました。
すると…………
「…………ばか、んなことボスだってやんねーよ…………やっぱお前はあかりだよ…………どじでちびで一生懸命なあかりだよ」
そう言った浩之ちゃんの顔は、ちょっと涙で濡れていたけど、前までの優しくて頼れる笑顔でした。
それが嬉しくて、安心して、あかりちゃんはまた、泣き出してしまいました。
「う、うわーーーーん、ひろゆきちゃぁん!!」
「――――ったく、しょうがねぇなぁ。俺がそうやって泣き出してぇくらいなのに、先に泣き出しやがって。これじゃあどっちが慰められてんだかわかりゃしねぇよ」
そう言いながらも、浩之ちゃんも泣いていました。
やがて、雅史ちゃんの方に向き直ると、
「すまねぇ雅史。でも、もう大丈夫だから……」
「うん、良かったよ、浩之が元気になって」
「あぁ、あかりの……いや、あかり犬のおかげだな。見事な犬チックぶりだったぜ」
「うぅ……なんか複雑だよぅ……」
そんなあかりの言葉に、浩之ちゃんも雅史ちゃんも、そしてあかりちゃん自身も笑い出しました。
(ボス、天国で幸せにな。俺もこいつらと一緒に精一杯生きて、それからお前の所に行くからさ。――――だから、またな!)
――――そして、浩之ちゃんは元気になりましたが、あかりちゃんはその後も事有るごとに、
『犬チック』と呼ばれるようになってしまいましたとさ」
そう言って、わたしは話を結び、浩之ちゃんに向かって言った。
「…………ごめんなさい、浩之ちゃん」
「――――いや、いい」
浩之ちゃんは、僅かに涙を流していた。
それを見て、わたしの中に罪悪感が膨らんでくる。
「無神経すぎたね。大事な話だったのに、こんな形で話しちゃうなんて……」
「お、おかーさん…」
「あかりさん……」
ゆかりとマルチちゃんが、心配そうにわたしを見る。
わたしもまた、泣いてたから。
「…………ったく、しょうがねぇなぁ。後悔するくらいなら、始めから話すなっての。
大体、この話は俺が本格的にあかりのことを気にし始めた時の話なんだから…………ゆかりに話す昔話としては外せねぇよ」
「でも、浩之ちゃん泣いて……」
「あ? 泣いてなんかいねぇよ。目にでっけぇゴミが入っただけだ。ハエかと思ったぞ、俺は。
――――それにな、ゆかり」
「え? なに、ひろゆきちゃん?」
「――――いい話だったろ? あかりの『犬チックストーリー』」
「あ、うん! とっても」
浩之ちゃんの言葉に、ゆかりは花咲いたような笑顔で応えるけれど、ゆかりの眦も、少しだけ潤んでて…………
「はうううう、私も思わず泣いちゃいそうになりましたぁ〜」
「うーっし、はじめからそれが狙いだったんだよ。殴られ損にならずに済んでよかったぜ」
そんな風におどけてみせる、浩之ちゃんの心遣いが嬉しくて、ちょっぴり辛くて、わたしは笑いながら、泣いた。
「あ…………それと、おかーさんごめんなさい」
「ん、どうしたの?」
なんだか改まって言ってくるゆかりに、わたしが涙をそっと拭いつつ聞いてみると――――
「わたしが『お手』とか言っちゃだめだよね。
おかーさんはひろゆきちゃんだけの、『犬』なんだから!」
………………………………………………………………………………………。
「ゆ、ゆかり…………」
「その……、なんつーか……」
「はわわわわ…………」
「? どうしたの、おかーさん、ひろゆきちゃん、おねーちゃんまで」
ゆかりの言葉に答えられる人など、もちろんこの家にはいなくって…………
…………結局ゆかりに説明するのに、たっぷり3時間はかかっちゃいました。
――――To another Heart......